はと便り

【四季便り】旧暦の星空を見上げて — 谷地八幡宮の七夕飾りと雅楽朗詠『二星』

作成者: 林 重紘|2026/08/08 0:16:04

皆様こんにちは、谷地八幡宮です。

 

一般的な七夕は7月7日として知られておりますが、新暦のカレンダーではちょうど梅雨の真っただ中にあたることが多く、「七夕の夜に天の川が見えない」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

もともと七夕は、旧暦(太陰太陽暦)に基づいた行事です。梅雨が明け、夏の盛りから秋へと移り変わるこの時期こそが、本来の季節にあたります。

今年の旧暦七夕は、8月19日(水)です。

当八幡宮では、古来の伝統にならい、8月17日(月)から8月20日(木)まで鳥居に笹竹の七夕飾りを設置いたします。

 

 【七夕の由来と「棚機女(たなばたつめ)」】

七夕は「五節句」の一つで、七月七日に行われる行事です。「星祭り」とも呼ばれます。

中国には古くから、牽牛と織女が年に一度、天の川を渡って出会うという伝説(二星伝説)がありました。

一方、日本にも古来より、豊作の神や祖霊をお迎えするため、水辺の機屋(はたや)で神に捧げる衣服を織り上げ、神とともに一夜を過ごす聖なる乙女「棚機女(たなばたつめ)」の信仰が存在していました。

この日本の「棚機女」の信仰と、中国から伝わった「織女星伝説」、さらに裁縫や手芸の上達を祈る儀式「乞巧奠(きっこうでん)」などが結びつき、現在の七夕の形になったとされています。「七夕」と書いて「たなばた」と読むのも、この棚機女に由来すると考えられています。

 

【雅楽に息づく七夕 — 朗詠『二星(じせい)』】

雅楽には、漢詩に節をつけて伴奏とともに歌う「朗詠(ろうえい)」という声楽があります。その中に、七夕を題材とした『二星』という風情ある名曲がございます。

『二星(じせい)』

(歌詞)

二星適逢 未叙別緒依依之恨

《二星(にせい)たまたま逢ひて いまだ別緒(べっしょ)依々(いい)の恨(うら)みを叙(の)べざるに》

五夜将明 頻驚涼風颯颯之声

《五夜(ごや)まさに明けなんとして 頻(しきり)に涼風(りょうふう)の颯々(さつさつ)たる声に驚く》

(意訳)

年に一度の逢瀬を果たした二星。互いに出会えた喜びや、離れていた寂しさを十分語り合えないうちに、早くも夜が明けようとしている。吹き始めた涼しい秋風の音に、別れの時が近づいていることを知るのだった。

 

1年に一度出会えた喜びと、過ぎ去る夜の切なさ——。涼風がそよぐ夜空を見上げながら、昔の人々も同じように星々に思いを馳せていたのかもしれません。

 

【八幡宮の七夕飾りと星空の祈り】

当宮では、境内にお参りの皆様にお書きいただける短冊をご用意しております(無料でお取りいただけます)。

天気が恵まれれば、日が落ちた夜空に牽牛星(アルタイル)と織女星(ベガ)が輝き、月が 沈む頃には、二星の間を通って南の空へ伸びる天の川をご覧いただくことができます。二星と八幡様へ届くよう、短冊に願いを込めてお祈りください。

静かな夜の境内で、皆様のご参拝を心よりお待ちしております。

 

  • 設置期間:8月8日(土)〜8月20日(木)

    • 8月8日〜16日は正面賽銭箱横へ準備しております
    • 8月17日〜20日は大鳥居前に
  • 場所:谷地八幡宮 賽銭箱脇、鳥居

  • 短冊:参拝者どなたでもご自由にお書きいただけます。